階段収納『階段箪笥』に見る収納術 階段下収納や壁厚収納で階段下スペースを活用!
便利で快適な生活をおくるためには、住居の収納が重要なポイントとなります。
もちろん、広い収納スペースを常に確保できれば問題ないのですが、なかなかそういうわけにはいきません。例えば日本では特に江戸時代より限られた空間の中に収納スペースを作り出す“階段箪笥”が利用されてきました。
そこで今回は、部屋の中の空間をうまく活用した収納について紹介していきます。
階段箪笥から学ぶ「空間」を有効活用する知恵
江戸時代建造の町屋を見ると狭い土地に建っていることもあって建物内を有効活用する必要がありました。町屋には完全に二階や三階まであるようなものが少なく、あっても中二階までという建物がほとんどだったからです。そこで建物内の収納は空間を最大限に利用できるような工夫が凝らされていきます。
その一つが“階段箪笥”です。
階段箪笥は中二階に上がる階段の下の部分を収納スペースとして利用するもので、建設段階から階段下に組み込んでしまうものと、移動が可能なタイプがあります。
人がその上を通るので頑丈で堅牢な造りになっていることはもちろん、扉や金具には緻密なデザインが施されており、職人のこだわりや工夫が感じられます。
つまり、日本には300年以上前から空間を有効活用して収納スペースを作り出すという概念があったのです。
階段下収納で階段下スペースを有効活用!
●階段下スペースも床面積に含まれる! デッドスペースにしておくのはもったいない
階段下は、現代においても有効活用したいスペースです。なぜなら階段下部分は使用してもしなくても、建物の床面積に含まれるからです。
どうせなら、何かに利用する方法を考えたいところですよね。
でも、階段下スペースをどのように使えばいいの? と迷われる方もいるかと思います。
よく見られる階段下スペースの有効活用例をいくつかご紹介しましょう。
●階段下スペースの有効活用アイデア
・有効活用その1 廊下・ホール階段下の収納として使う場合
階段下スペースの活用方法でまずおすすめしたいのが、廊下・ホール階段下の収納として使う方法です。収納力は、階段の形状で変化します。下階から上階までまっすぐに上がり下りする直階段が最も収納量を確保できますが、途中で折れ曲がるかね折れ階段などでも階段下収納をつくることは可能です。
階段下は奥行きがあるため、扇風機や暖房器具、クリスマスツリーやひな人形といったシーズンアイテムや、場所をとるような大きなものを収納するのに便利です。階段下収納を設置することで、他の部屋の収納スペースに余裕をもたせることができるでしょう。
・有効活用その2 リビング収納として使う場合
リビングに階段がある場合は、階段箪笥のように細かい仕切りのある収納を設置 して、日常的に使用するものを収納することをおすすめします。扉をつけないオープン収納にして、家族の写真や子どもの描いた作品などを展示するギャラリーとして活用するのもよいでしょう。
収納棚の奥行きが深くて効率的に使用できない場合は、収納棚を前後に分割して奥行きを浅くし、サイドから収納したものを取り出せるようにするなど、取り出しやすさを重視したレイアウトになるよう工夫しましょう。
・有効活用その3 ペットスペースとして使う場合
ペットを飼っている場合は、階段下をペットスペースとして活用するのもよいでしょう。 ペットトイレや食事トレー、ペットゲージのほか、トイレシーツやペットフード、ブラシや爪切りなどのケア用品から洋服やリードなど、ペット用品をまとめて収納できます。階段下スペースは、ほどよいクローズ感が出るため、専用スペースっぽい雰囲気が出せますよ。
・有効活用その4 ワークスペースとして使う場合
階段下スペースをリビング学習や在宅勤務スペースとして活用する方法もおすすめです。 壁に向かうようにデスクを置くことで、集中して勉強や仕事ができます。ただし、スケルトン階段の場合は、ほこりが落ちてきやすいのでこまめな掃除などの対策は必要です。
・有効活用その5 トイレとして使う場合
階段が廊下にある場合は、階段下スペースをトイレにするのもよいでしょう。ただし、階段の形状とトイレスペースの向きによっては、トイレスペースの一部の天井が低くなる箇所が出てくる可能性があるため、トイレが使いにくくならないように配慮して設計する必要があります。
このように、階段下など建物内の限られた空間でも、有効に活用することができるのです。
同じように「壁面収納」も部屋の空間をうまく活用した収納です。
壁さえあれば新たに収納スペースを作り出せて、テレビの周囲や上部など通常の家具が設置しづらいデッドスペースも有効活用することができます。床から離れた位置にも設置できるなど自由度が高く、おしゃれな部屋作りにピッタリのアイテムです。
壁の厚みを利用する収納があるのをご存知ですか?
壁面収納や家具は、設置することで部屋の空間を少し狭めてしまいます。その場所で使用するちょっとしたものを置きたいだけなのに、そのために収納設置スペースを確保するのは悩ましい……そのような場合におすすめの収納方法があるのです。
それが、壁の厚みを収納に利用するという「壁厚(かべあつ)収納」です。
なんと、室内にある壁の厚みを活用して、壁に収納を埋め込んでしまうというもので、部屋の広さを狭めることなく、スマートに収納スペースを確保することができます。
「でも、壁の厚さの収納なんて、大して活用できないんじゃないの?」と思われた方もいることでしょう。確かに収納力は通常の収納家具に比べたら少なくなる傾向にありますが、使い方次第で生活を便利に、豊かにしてくれる収納なのです。
壁厚収納『カベピタ』の豊富なバリエーション!
DAIKENの『カベピタ』は、壁厚収納としておすすめの収納ユニットです。 『カベピタ』の名の通り、壁の中に収納スペースがピッタリと納まるため、室内に出っ張らず、生活空間を広々と利用できるのが一番のメリットです。
さらに、書棚や小物入れなどの実用的な収納から、ニッチ(壁をくぼめたスペースのこと)などの見せるための飾り棚、さらにサニタリーや玄関で活用できるものもあるなど、バリエーションが豊富です。生活スタイルや住空間にあわせた収納ユニットを、「ここに欲しい!」という場所に設置することができます。
そのバリエーションをいくつかご紹介します。
ワンポイントの演出用として、見せるために壁厚収納を利用する場合は、「ニッチ」がおすすめです。ダウンライトが付いているので、花瓶などのお気に入りのアイテムを効果的に飾ることができます。玄関を開けてはじめに目に入る壁などに「ニッチ」を設けて季節感のあるものを飾ることで、自宅を訪れたお客様を気持ちよくお迎えすることができます。
また玄関では、「スリッパ収納」や靴を履くための「格納イス」もすっきりと収まります。
実用的なものとしては、使いやすいオープンラックを壁に設置できる「ルームポケット」がおすすめです。玄関へ向かう導線上の部屋の壁に配置して、ハンカチやポケットティッシュ、折りたたみ傘など、外出に必要な小物を家族別にまとめて置くスペースにするのはいかがでしょうか。忘れ物やお出かけ前の探し物が減ったり、外出前にいちいち部屋に取りに行く手間が省けたりと、便利になります。高いところにはアロマストーンなどを置くのもおしゃれです。DAIKEN製品なら、リビングドアともコーディネートできるのもポイントです。
「ストックキーパー」を導入すれば、洗剤やシャンプー・リンス、ボックスティッシュ、ペットボトルの水などの消耗品をひとまとめに収納できます。使用する場所の近くに設置すれば交換もお手軽です。奥行きが浅い分、一目でストックの数が把握できるので、足りない物をすぐに買い足すことができます。
化粧品をはじめとした身だしなみを整えるためのアイテムは収納する場所に悩みがちですが、鏡のすぐ近くに収納できれば非常に便利ですよね。「ミラーシェルフ」なら慌ただしい朝でも必要なものをサッと取り出して身だしなみを整えて、すっきりとしまえます。コンセント付きなので、ドライヤーやヘアーアイロンも手軽に使えるのがうれしいポイントです。
「ディスプレイ(有孔ボード)」で、たくさん空いている穴に金具をかけて文具やお気に入りの写真を飾れるおしゃれな空間も壁に収納できます。カスタマイズ性が高いため、実用的なアイテムを並べるのも、趣味のものを並べるのもあなた次第。コンセント付きなのでタブレットを置いて、充電しながら調べものをする、なんてこともできます。
「ディスプレイ(マグネットボード)」は、マグネットで小物入れや紙などを貼りつけられるボードを内蔵した壁厚収納です。学校で配布されるプリントや買い物リストなどをマグネットで貼りつけておけば忘れ物防止に役立ちます。壁に収納されているので、不意にマグネットに触れて落としてしまうという失敗も起きにくいでしょう。コンセント付きなので、タブレットを置いて、料理レシピや天気をさっと検索することもできます。
他にも、寝室、トイレなど、場所に応じて必要な壁面収納を設置することで、生活がとても快適になります。
壁厚収納を導入する場合は、実用的に使いたいのか、飾り棚として使いたいのかを、あらかじめよく考えておき、その目的にあった収納ユニットを効果的な場所に設置するのが重要なポイントです。
生活スペースの邪魔にならず、適した場所にあると、生活が何倍も快適で、豊かなものになる壁厚収納。ぜひ活用してみてください。
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カベピタ
室内の壁厚を活かした収納ユニット
さらに詳しく(製品情報)
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監修者
志鎌のり子(しかまのりこ)
一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。
保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など
公開日:2020.01.22 最終更新日:2024.11.20